YouTubeでのマーケティング戦略の基本やメリット・デメリット、成功事例を紹介
YouTubeを活用したマーケティングは、企業の認知度向上や売上拡大を目的とした活動です。月間アクティブユーザー数は約25.5億人(2024年4月現在)が利用するYouTubeでは、自社チャンネルの開設や広告配信を通じて、ターゲット層に適した動画を届けられます。
近年のデジタル環境の発展により、場所や時間を問わず動画コンテンツを視聴できる環境が整い、企業規模を問わず取り組める重要なマーケティング手法として注目を集めています。本記事ではYouTubeを利用した動画マーケティングを検討の方に向けて、基本的な情報からメリット、デメリット、活用事例などをまとめました。YouTubeでの動画マーケティングを活用する際に、参考にしてください。
目次
YouTubeを活用したマーケティング戦略とは?
世界最大級の動画プラットフォームであるYouTubeを活用することで、企業の商品やサービスの認知度向上や売上の拡大を実現可能です。
YouTubeマーケティングでは、ターゲット層に合わせた配信設定が可能なため、効率的な広告運用ができます。
また、視聴者とのコミュニケーションを通じた、ブランドイメージの向上にも有効です。企業の規模を問わず取り組めるマーケティング手法として注目を集めており、動画コンテンツの制作から配信、分析まで一貫した施策を展開できます。
YouTubeでのマーケティングが重要な理由
現代のデジタルマーケティングにおいて、YouTubeの活用は重要です。総務省の調査によると、日本のインターネットユーザーの76.4%がYouTubeを利用しており、若年層では90%以上が日常的に利用しています。
スマートフォンやタブレットの普及により、場所や時間を問わず動画コンテンツを視聴できる環境が整っています。豊富な視聴者層にアプローチできるYouTubeは、企業にとっての効果的なマーケティングチャネルとして機能します。
動画自体の需要が高い
矢野経済研究所の調査によると、動画コンテンツビジネスの市場規模は年々拡大を続けています。2021年度の市場規模は前年比で100%以上の伸び率を記録し、成長し続けています。KDDI社の調査では、スマートフォンユーザーの66%が主な利用目的として「動画視聴」を挙げており、全体の80%が日常的に動画コンテンツを視聴しています。
動画コンテンツビジネス市場拡大の背景には、高速通信網の整備やデバイスの性能向上があります。快適な動画視聴環境の整備により、ユーザーの動画コンテンツへの需要が高まっているのです。企業は動画コンテンツの活用によって、マーケティング活動を効率的に進められます。
動画広告の市場も拡大傾向
動画広告市場は急速な成長を続けています。サイバーエージェントの調査によると、2022年のスマートフォン向け動画広告需要は前年対比132.7%の4,621億円に達し、動画広告需要全体の83%を占めています。
コネクテッドテレビ向け動画広告需要も前年対比157.0%となる540億円と急成長を遂げました。近年はショート動画が若年層を中心に支持を集め、視聴時間も増加しています。大手広告プラットフォームでは、新しい広告フォーマットの開発と提供を進めており、動画広告は商品やサービスの認知から購買までを促進する重要な役割を担っています。
SNSやWebサイトとの連携もしやすい
YouTubeは、SNSやWebサイトとの連携が簡単です。動画内で自社サイトやSNSへの誘導を組み込むと、相乗的な効果が期待できます。Instagram、X(旧Twitter)などの異なるプラットフォームの組み合わせにより、多角的なアプローチが可能です。
YouTubeに投稿する動画は3~5分、インタビューや解説が伴う場合には10分以上の動画になります。YouTube向けの長尺動画から印象的なシーンを切り取り、YouTube Shortsや各種SNSプラットフォーム向けの短尺動画として展開できます。
配信プラットフォームが変わっても同じ動画を転用するため、1回の制作で複数のSNS向けコンテンツを生み出せ、制作リソースを最適化できます。また、顧客相談はInstagramでおこない、詳細情報はYouTubeで発信するなど、各プラットフォームの特性を活かした情報発信も可能です。
ブランド構築につながる
YouTubeを有効活用したブランド構築を通じて、大きな成果を上げられます。市場調査とターゲット分析から始まり、チャンネルのコンセプト設定、視覚的要素の統一、コンテンツ制作と段階的に進めていきます。動画を通じて企業の価値観や魅力を効果的に伝えられ、視聴者との信頼関係の構築にも有効です。
アイコン、サムネイル、概要欄など、細部までブランドイメージを統一すると、独自の世界観を確立できます。クロスプロモーションにより、複数のプラットフォームでファンを獲得し、全方位からブランドの認知度を高められます。商品やサービスの魅力を効果的に伝達できます。
YouTubeマーケティングのメリット
企業のマーケティング活動においてYouTubeは重要なプラットフォームです。多様な広告形式と柔軟な予算設定により、企業規模を問わず効果的なマーケティング活動を展開できます。
YouTube Studioを活用して動画の視聴者や視聴数、視聴時間、視聴維持率などを分析する機能により、投資対効果を正確に把握し、継続的な改善が可能です。
ターゲティングがしやすい
YouTubeマーケティングでは、オーディエンスターゲティングとコンテンツターゲティングの2種類の手法を活用できます。オーディエンスターゲティングでは、年齢、性別、世帯収入といった基本属性から、学歴、就業状況、配偶者の有無など詳細な属性まで設定可能です。
コンテンツターゲティングでは、カテゴリやライフイベント、購買意欲の強さなどを指定できます。コンテンツターゲティングでは、配信場所やトピック、キーワードを設定し、ユーザーと関連性の高い場所に広告を表示できます。
動画をさまざまな場面で活用できる
YouTubeの動画コンテンツは、さまざまなプラットフォームでの活用が可能です。長尺の動画はYouTube Shorts、TikTok、Instagramなどの短尺動画として再編集できます。各プラットフォームの特性に合わせてコンテンツを最適化すると、より多くの視聴者にリーチできます。
たとえば、ハイライトシーンの切り出しによる短い動画の作成や、キーメッセージを抽出して異なる形式での発信ができます。動画の用途や目的に応じたプラットフォームの使い分けにより、効果的な情報発信が可能です。
短時間で多数のユーザーに伝わる
YouTube広告、特にマストヘッド広告と呼ばれるYouTubeのトップ画面に表示される動画広告は、短期間で多数のユーザーへのリーチが見込めます。最近では、ショート動画の活用も効果的です。総務省の調査によると、SNSの利用者は全世界で45億9,000万人、日本では1億200万人と人口の81.5%に達しています。
10代から30代では、9割前後がSNSを利用しており、若年層へのアプローチに優れています。シェア機能を通じた認知拡大や、ユーザーとの直接的なコミュニケーションも可能で、商品やサービスの購入促進につながります。
アカウント作成自体は無料で、予算に合わせた規模で始められる
YouTubeでマーケティング活動を始める際の、アカウント作成は無料です。広告運用では、1日あたりの予算を最低500円から設定できます。広告の種類も、動画広告やディスプレイ広告など複数の選択肢があり、目的に合わせて選べます。
広告の表示頻度や時間帯も細かく設定できます。運用開始後は、視聴回数やクリック率、視聴者の属性データなどを確認でき、効果測定に基づいた予算の見直しも容易です。初めは小規模な予算で検証し、効果を確認しながら段階的に規模を拡大していく戦略も有効です。広告運用以外にも、自社チャンネルの開設と運営を通じたオーガニックな集客も検討できます。
YouTubeマーケティングのデメリット
YouTubeマーケティングは大きな可能性を秘めていますが、企業が取り組む際には慎重に検討しましょう。長期的な視点での運用体制の構築、継続的なリソースの確保、リスクマネジメントなど、さまざまな課題への対応が求められます。
企業の規模や業種、目的に応じて、実施体制や投資計画を綿密に立てるのが重要です。成果を最大化し、リスクを最小限に抑えるための戦略的なアプローチが不可欠となります。
効果が出るまでに時間がかかる
YouTubeマーケティングでは、即効性のある成果は期待できません。プロの間では「最短3か月~6か月で成果が出なければ見直し」という指標があります。チャンネルのテーマや対象視聴者をYouTubeのアルゴリズムに理解させるには、20から50本程度の動画投稿が必要です。
週2本のペースで投稿しても、20本の投稿に3か月かかります。また、視聴者との信頼関係構築にも時間を要します。短期的な成果を求めるのではなく、長期的な視点での戦略立案と継続的な投資が必要です。
投稿本数が多ければ成果がでるというわけでもないため、YouTubeマーケティングに知識や実績のある制作会社への依頼もおすすめです。投稿した動画を分析し、予算を最適に活用するために動画の方針を調整しながら動画マーケティングを進められます。
内製化すると手間がかかる
YouTubeマーケティングを自社で実施する場合、多くの工数と専門知識が必要です。動画の企画、撮影、編集、サムネイル作成、タイトル設定、説明文作成など、ひとつの動画配信に多くの作業が発生します。
週2本以上の定期的な投稿を維持するには、専任チームの設置も検討が必要です。また、アルゴリズム対策やSEO対策などの専門知識も求められます。初期段階では視聴回数も少なく、地道な努力が必要です。企業規模や体制に応じて、外部の制作会社や代理店の活用も選択肢のひとつです。
炎上のリスクがある
YouTubeは拡散力が強く、一度炎上すると影響が広範囲に及びます。不適切な発言や表現、著作権侵害、他チャンネルへの誹謗中傷など、さまざまな要因で炎上が発生する可能性があります。
炎上は動画のコメント欄だけでなく、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSにも波及し、企業イメージを損なう恐れがあります。防止策として、コンプライアンス研修の実施、複数人でのチェック体制の構築、デリケートなテーマの回避など、慎重に運用しなければなりません。
YouTubeでのマーケティングの成功事例3選
大手企業のYouTube活用事例を参考にして、効果的なマーケティング戦略を検討しましょう。業界や商材の特性に合わせた独自のアプローチ、ターゲット層との効果的なコミュニケーション方法、企業ブランディングの成功パターンが見えてきます。
エイベックス株式会社
エイベックス株式会社は、音楽・映像コンテンツの制作・配信を手がける総合エンターテインメント企業です。606万人以上のチャンネル登録者を持つ音楽業界での成功事例です。所属アーティストのミュージックビデオや最新情報を定期的に配信し、ファンとの接点を維持しています。
動画のクオリティを保ちながら、コンスタントな配信スケジュールを維持しているのが特徴です。無料で質の高い音楽コンテンツの提供により、ファンの満足度を高め、アーティストの認知度向上にもつながっています。企業チャンネルでありながら、エンターテインメント性の高いコンテンツで視聴者を魅了し続けています。
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株式会社バンダイ
バンダイは、玩具やカードゲーム、プラモデル、フィギュアなどを展開する大手玩具メーカーです。105万人以上のチャンネル登録者数を誇り、人気YouTuberとのコラボレーションや商品紹介で成功を収めています。
ターゲット層である子供たちに人気の「はじめしゃちょー」との協業で、商品の魅力を効果的に伝えています。また、ウルトラマンや仮面ライダーの変身アイテムを紹介するショート動画も高い再生数を記録。アニメーションを活用した「ムシ忍」シリーズなど、多角的なコンテンツ展開も特徴です。概要欄に商品購入ページへのリンクを設置し、視聴から購買への導線も確立しています。
ルイヴィトン(Louis Vuitton)
ルイヴィトンは、1854年創業のフランスを代表する高級ファッションブランドです。539万人の登録者を持ち、高級ブランドならではの上質なストーリーテリングで成功を収めています。
職人の製作過程を紹介した動画は1,300万回以上の再生を記録し、ブランドの信頼性向上に貢献しています。商品の背景にある職人技や伝統を丁寧に伝えたため、ブランドの価値を効果的に表現しています。普段は見る機会のない製作現場の公開により、視聴者の興味を引きつけながら、ブランドへの理解と共感を深めています。
YouTubeマーケティング戦略を成功させるためのポイント
ターゲット・目的の明確化
YouTubeマーケティングでは、まずターゲットと目的の明確化が重要です。ターゲット設定では、自社の商品やサービスを訴求したい層の年齢、性別、興味関心などの属性を具体的に定めます。
現在の顧客層の分析データも活用し、精緻なターゲット像を描きます。目的の設定では「認知度を高める」「商品の購入を促進する」「ブランドファンを獲得する」など、具体的な目標を定めましょう。
動画視聴後にターゲットに取ってほしい行動を明確にすると、制作する動画の内容や選定する広告手法も定まってきます。適切な目的設定により、効果的な施策の立案が可能です。
KPIを整理する
YouTubeマーケティングのKPIは、目的に応じて適切な指標を選択します。認知拡大を目指す場合は、インプレッション数、視聴回数、ユニーク視聴者数、関連動画からの流入数を重視しましょう。
購買意欲の促進が目的の場合、サイトへのクリック率、視聴維持率、平均視聴時間を指標とします。ブランドファン獲得を目指す場合は、チャンネル登録者数、高評価数、コメント数を重視します。
KPI設定では、まず最終目標であるKGI(Key Goal Indicator)を決め、KGIから逆算して中間目標を設定します。各指標は定期的に測定し、PDCAサイクルを回して改善を図りましょう。
YouTubeアカウントと広告をうまく活用する
YouTubeには5つの広告形式があり、目的に応じて使い分けが可能です。インストリーム広告は動画の再生前後や途中に表示され、30秒以上視聴された場合に課金されます。ディスカバリー広告は検索結果や関連動画の横に表示され、クリックされた時点で課金が発生します。
バンパー広告は6秒以下のスキップ不可の広告で、1,000回表示ごとに課金されます。アウトストリーム広告はモバイル専用で、2秒以上再生された場合に課金されます。マストヘッド広告はYouTubeトップ画面の最上部に表示され、インプレッション単価制と日別単価制から選択可能です。
YouTubeアナリティクスを活用して分析する
YouTubeアナリティクスでは、チャンネルや動画のパフォーマンスを無料で分析できます。重要な7つの指標があり、インプレッション数、クリック率、視聴者維持率、視聴スピード、ユーザーの視聴動画、エンゲージメント、総再生時間を確認できます。
視聴者の属性や行動パターン、トラフィックソースなども把握でき、コンテンツ改善に活用できます。特にクリック率は平均5%で、8から10%を目標にします。視聴者維持率は40%を目指し、エンゲージメントを高めるには視聴者への働きかけが効果的です。分析結果を基にPDCAサイクルを回し、チャンネルの成長につなげます。
YouTubeマーケティングのご相談はエヌフォースまで
企業のマーケティング活動において、YouTubeの活用は戦略上重要な要素です。ターゲット層の明確な設定から、適切な広告運用、効果測定まで、包括的なアプローチが求められます。
エヌフォースは、多数の企業のマーケティング支援実績を持ち、専門的な知見と実践的なノウハウを提供しています。また、最新のトレンドや技術動向を把握し、効果的なマーケティング施策を提案します。
動画制作からチャンネル運営、広告運用まで、包括的なサービスを提供するプロフェッショナル集団として、企業の規模や業種に応じた最適な戦略を立案し、実行までサポートします。現状分析から目標設定、施策の実施、効果測定まで、一貫したマーケティング支援を実現し、企業の成長をYouTubeマーケティングの側面からサポートしますので、お気軽にご相談ください。